「意外な行動」第1章
「伊集院玲の場合」


「会長。」
鷹村蘇芳が嘆願した。
「どうか、書類に目を通して貰えませんか?」

「ああ、蘇芳。」
妹之山残は静かに扇子を扇いでいた。
「僕もしたい!だがな、外がとっても美しいじゃないか....」

「クソッタレの会長の為に!」
伊集院玲が叫んだ。
「いまいましい書類に目を通すべきです!!!」

残と蘇芳はボウゼンとし、沈黙が部屋を包んだ。

「な....何て言ったんだ?伊集院。」
蘇芳が小さな声で尋ねた。

玲は目をパチクリとさせて、言った。
「僕は、自然の美しさを賛美されている所が、会長らしいなァ、
と言ったんですよ。」

「おお!」
残と蘇芳が玲ををジッと見つめて言った。

「も....勿論、そう言ったんだよな、玲は!」
残は、ホッとして溜息をついた。
「暫く、考えてたんだよな、僕は....ウーン....。」

玲は2人を見て目をパチクリとさせた。
「何を考えて見えたんですか?」
玲は尋ねた。

「えーと。」
残は言った。
「多分、書類に目を通そうとしてたんだな。」

「そうです。お願いします。」
蘇芳も同意した。

2人は、それ以上何も喋らずに、自分の机に直行し、一生懸命に
書類を処理し始めたのだった。

玲は2人から視線をそらし、口に僅かに笑いを浮かべながら、
お茶の準備を始めた。
彼は、こうする事を長年待っていたのだ!!!

<終わり>