「意外な行動」第3章
「妹之山残の場合」


人の影がコソコソと動き、中庭を全速力で掛け抜けて行った。
突然、巨大なスポットライトが光り、その影を照らした。

「ああっ!」男は叫んだ。
2人の少年が男の前に飛び出して来た。
そして、男の目を塞ぐ為、男は自分の腕を掴まれた。

「丁度、僕が考えていたのは。」
甘い声が言った。
「犯罪者は犯行現場に戻って来る、と言う事なんだ。」

男は腕を下ろし、その前には、金髪の少年が立っていた。
男は少年を睨み付けていた。
少年の両脇には2人の少女が寄り添っており、一人が男を睨み
つけていた。

「女性に害をなす体操器具は良くない物だ。僕は許す事が出来ない!」
妹之山残は、自分の扇子を開き、叫んだ。
鷹村蘇芳と伊集院玲が、残が来る迄、男の腕を掴んでいた。

「最初にキチンとしておけば、上手くやれたかも知れないのにな....
相川さん!」
残は扇子で男を指差した。
残を除いた4人はギョッと息を呑んだ。

「相川さん?」
梓夜凪砂嬢(注1)と大川詠心嬢(注2)は、自分の目を見開いて、
唖然として言った。

沈黙....

「あの、会長。相川さんじゃ、有りませんよ。」

「アッ、ハ、ハ....」
残は笑った。
「ああ、僕に、当てずっぽうだ、って事、教えてくれたんだな。」

そして、男はドスンと地面に倒れたのだった。

<終わり>

注1:梓夜凪砂(あずやなぎさ)
CLAMP学園幼等部に在籍。
日本舞踊の素晴らしい踊り手。
鷹村蘇芳のガールフレンド。

注2:大川詠心(おおかわうたこ)
CLAMP学園幼等部学生会会長。
伊集院玲のガールフレンド。