彼女−アスカの記憶
(Original Title:MOMENTO MORI)

出典:The Toad-Stone Eel's Fanfic Archive
(http://www.teloong.mcmail.com/)

著者:E.L.Toh
訳者:alpha7

「やあ、アスカ。」

「オッ、あんたなの。」

「こんなに長い間、来れなくてごめんよ。」

「何時も謝ってる!あんた、決して変わらない!」

「近頃、仕事が一寸仕事が忙しいんだ。」

「それで、あの子は何処にいるのよ。」

「レイも一緒にここに来たがってたんだけど、伊吹先生が彼女には
休息が必要だって言ったんだ。彼女、自分自身の良い知らせを君に
言いたがってったよ。本当。」

「何よ?」

「ああ、レイは身ごもってる。男の子と女の子を。」

「ふーん。私、いつも、あんたをヘンタイだ、って事、知ってたけ
どさ。」

「僕達、男の方をカヲルと名付けようと決めてたんだ。それで....」

「あら、やだ。どんなに面白い事かとなあ、って....」

「....僕達、女の子に君の名前を付けたいんだ。」

「メイン ゴット イン ヒーメル。」

「君なら喜んでくれると思ったんだけど....」

「あの子、おとなしい母親にならない方が良いわね。そのことが私、
気がかりね。だって、あのゾクゾクする赤い目以上のモノなんて、無い
からさ。」

「始めに、君が騒ぎ立てるか、不平を言うと思っていたんだけど....」

「あんた、本当に私に分かって欲しいと思ってるの?バカシンジ。」

「君も分かってるんだね。僕は時々分からなくなるんだ。もし、僕達
が....」

「あんた、バカ? あんたには今、あの子が居るじゃない。」

「とにかく、出来るだけ早く、子供のアスカをここに連れてくるよ。」

「楽しみにしてるわ。」

「じゃあ、また。」

「ええ。」

「僕は君を忘れないよ。」

「ああ....泣かないで、バカシンジ。私への愛をレイと二人の子供に
与えて。また、来てね。」
風が吹き、木陰から光が漏れた。

シンジは回りを見渡し、そして、自分の左側を向いた。
太陽の光が黒曜石に刻まれた文字を、ひときわ輝かせた。

       『愛の記憶
 惣流・アスカ・ラングレー、ここに眠る。
       2001 - 2015
 君が、僕に与えてくれた生きる力の為に....』

シンジが供えた赤いバラがその後、長い間、美しさを保っていた。

<終わり>