「タンジェント」
(Orginal Title:Tangents)

出典:Evafiction
   (http://evafiction.animecenter.com/)
著者:E.L.Toh
訳者:alpha7

(訳者注)
< >内のコメントは作者の言葉です。


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第八話「アスカ、来日」より

アスカは空母「オヴァー・ザ・レインボー」のキャリアのレールに座り、
自分の足をあっちこっちにブラブラさせて、鼻歌を歌っていた。

アスカは自分の手でレールの頂上に移動し、青い空、白い太平洋の波に
見とれており、自分の隣の「真の」男性と語り合っていたのだった。

「それで、碇シンジ君をどう思ってるのかい?」
ミサトにカフェテリアの支払いを持たせる、と言う一寸した冗談に今尚、
刺激を感じている加持リョウジは尋ねた。

「あの偉大なサードの事?」
アスカは吐き捨てる様に尋ねた。
「あんな奴、なーんでも無いわよ!」

「それに、彼の戦闘時のシンクロ率は特別な訓練無しで、40%を優に
超えているそうだよ。」
加持は言った。
彼のいつもながらの軽率な喋りぷりが、アスカのプライドに傷を付けた。

「メイン ゴット!」
アスカは心から驚いて、ドイツ語で叫んだ。

『そんな事、出来る訳無いわ。』
アスカは考えた。
『さて、私が特別なパイロットだ、って事、アイツに見せてやらないと
いけないわね。』

しかし、レールの上で足をブラブラさせていた為、キャリアのグリップ
が失われている、と言う事にアスカは気が付いていなかった。
その事の方がアスカにとっては問題だったのだ。

「何よ−−−−っ!これ−−−−っ!」
キャリアデッキからアスカは放り出されて、叫んだ。
そして、太平洋には大きな水飛沫が上がったのだった。

<私はアスカが好きです。本当です。>
(訳者注:本当ですか??)
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第九話「瞬間、心重ねて」より

ネルフ本部発令所の全職員は第七使途にとどめの一撃を刺す為、跳ね回
るエヴァ初号機と弐号機の見事なペアリングに見とれていた。

2機のエヴァは優美な死のダンスは第七使途の赤いコアをクラッシュさ
せて、最高潮に達したのであった。2機のエヴァは大きく動き、敵を蹴
散らした。更に、爆発が起き、山が削り取られたのだった。

発令所の人間が誇りに満ちた笑いを浮かべ、2機のエヴァに希望的な予
想をしたが、それらは初号機のライムグリーンと紫、弐号機のオレンジ
と赤の手足がだらしなく噛み合っている、と言う光景がスクリーンに映
し出された事により、消えてしまったのだった。

シンジはエントリープラグから這い降りると、初号機の装甲の中から
鳴り響く電話の音に気が付いた。興味をそそられたので、電話を取ると、
そこから聞こえて来たのは、アスカの罵詈雑言の嵐だった。

「あんた、私の弐号機に何してるのよ!?分かってよね!あんた、私の
上になる予定だったんでしょ!クソッタレ!」

「オイ!僕のせいにするなよ!」
シンジは自分を弁護する様に答えた。
「なあ、認めなくちゃ....つまり、上だろうと下だろうと。僕は、まだ
かなり上手くやったんだからさ!」

「上手くですって!?」
アスカは吐き捨てた。
「あんた、昨日の夜、私を襲おうとしたクセに!」

「何だって!?嘘を言うなよ!うぬぼれてるな!?」シンジのプライド
は傷つけられた。と言うのも、このやり取りが、ネルフ本部、そして、
第三新東京市に全体に流れていたからだ。
「こんなの信じられないよ!」

冬月副指令は絶望でうめき声を上げ、肩をドッと落とした。

「あのクソガキ共、又も我々に恥をかかせているな。」

<この話は健全バージョンです。>
(訳者注:エッ?そ、そうですかぁ?)
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第壱参話「使途、侵入」より

「大変です!バルタザールが乗っ取られています!」
日向が叫んだ。

『自動自爆シークエンスが作動しました。』
『自爆は3つの人工頭脳が同意した後、20秒後に実行されます。』
低く、だが、明快な女性の声でマギがアナウンスした。

「何?もう始まったの?」
ミサトはキャスパー内部から外に顔を出して、尋ねた。

「現在、バルタザールがキャスパーをハッキング中です!」
青葉が吐き捨てた。

『自爆まで後20秒。』

第十壱使途を壊滅するべくコンピューターウイルスの作成を懸命に
行っているマヤとリツコを除いた職員から「ああ、なんて事だ!」
と声が上がった。

「キャスパー、18秒後に乗っ取られます!」
青葉が言った。
その為、その場の全員が自分達にどれだけの時間が残っているかを
認識したのだった。

「リツコ、急いで!」
ミサトが叫ぶ。

「心配しないで!1秒は余裕があるんだから。」
ネルフの主任科学者は穏やかに、そして、平静を保って答えた。

「たったの1秒!?」

『後8秒』

「ゼロやマイナスじゃないわ....」
こうして、ミサトの生活様式を常に犠牲にして、ユーモアを交えた
試みが行われている訳では無かったが、そうリツコは答えた。
「マヤ!」

『後7秒、6....』

「行けます!」
リツコの有能なアシスタントであり、崇拝者であるマヤは答えた。

『5、4、3....』

「押して!!!」
マヤと同時に、キーボードに指をピシャと下ろしたリツコは叫んだ。

『2、1、0』

コンピューターの技術サポートに寄せられた質問に、「何かキーを
押してください。と出てるけど、何か'Any'キーって、何処にある
のか?」と言うのが有った。
コンピュータープログラマーには、それは'Enter'キーを押せ、と
理解されていたし、実際そうして来た。

不運にも、非の打ち所の無い(筈の)赤木リツコ博士は自分の指で
'Shift'キーを押していたのだった。

「あっ、いけない。しまった。」

『自爆は実行されました。』
『さよなら、狂った世界よ。』

ドッカーン

<最後にツツブツ言ったのは誰だったんでしょうか?>
(訳者注:リツコでしょう。)

《終わり》
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