それは存在しない宇宙船であった。

実際には存在しない数千の船の1つであった。

その存在しない宇宙船の船内、黒ずくめの身を包んだ2人がブリッジに
座っていた。
彼らは呼び出されたのであった。

//K刑事、M刑事、入り給え。//

「K刑事、報告いたします。」2人の内、左側の人間が答えた。

//バイオエネルギー反応を捉えた。反応強度は28Tだ。反応は太陽系
第3惑星から出ている。犯罪者クラス7の生物形態と思われる。//

「宇宙海賊魎呼ですか?」Kが尋ねた。

「本物の宇宙海賊?ワーイ!私、そう言うのに会った事ないんだわァ!」
M刑事はわめき立てた。

//多分、魎呼だ。行って調査せよ。//

「承知しました。」

「ワーイ!私達、宇宙海賊を逮捕できるんだわァ!」

//もう1つある。その惑星の住人は異星人とのコンタクトをまだして
いない。君達がそこにいる間、必ず彼らの記憶を消去する様に。//

Kは溜息をついた。
「分かりました。」

「さあ、行くわよ!」
Mはわめき立てた。
彼女は熱心に前に進み出た。そして、コントロールを操作した。
「宇宙海賊魎呼、私達が行くわよ!」

Kはパニックに陥り、金切り声を上げた。
「違う!赤いボタンじゃ無いってば!」

「あら?」

*ボーン*


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宇宙のクズどもから、太陽系を守る。
エージェントK/エージェントM
=ギャラクシーポリス・イン・ブラック=
by rpm
翻訳:alpha7
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天地は湖の辺でくつろぎながら、空を眺めていた。
彼にとって、祖父にこの日の雑用や剣の修行をさせられていない時間で
あった。

天地のまわりでは多くの厄介事が起きていたので、休息が必要であった。
岩屋の鬼は本物だった。彼はその鬼を復活させた。そして、彼はそいつ
を再び封印したいと考えていたのだった。

ああ、さて、今は鬼の事はいい。今の彼には、草と湖、そして、晴れた
青い空....

「あれ?」

正確には晴れた青い空では無かった。

「うわっ」

....大きな黒い宇宙船が空から、まっさかさまに落ちてきた。

「じっちゃん!」

天地は身を守る為、家に走った。だが、宇宙船が湖に落ちる前に家に
辿り付く事は出来なかった。宇宙船が湖に落ちると、半径100ヤード
はある巨大な水飛沫が上がったのであった。

この事は天地が予想していた事では無かった。

多分、外宇宙から来たゾッとする様な怪物、でなければ、最高機密の
ジェット機に乗って墜落したエースパイロットと思われたが....
2人の美しい女性が、お茶を飲む為、天地達と一緒に居たのであった。

「散らかしちゃって....ごめんなさい。」緑の髪の女性が謝った。

「なあに、全然、問題ないよ。」
遥照が言った。
「アンタには、大きな怪我は無いようじゃな。ワシが思うに魚につつ
かれた様じゃが。」

「2人共、何処の誰?」
天地が尋ねた。
「つまり、俺、ちょっと考えたんだけど。不意に外宇宙からのUFO
が俺を襲って来たんじゃないかな、ってさ。」
天地はその考えに笑った。遥照も同じだった。

金髪の女性はギョッとした様に思われた。

「ウン....えっ....異星人?違う!違う!違う!何で、そんな事を?」

「つまり、俺、こんな墜落事故、始めてだったしさ。」
天地は答えた。
「名前は何て言うの?」

緑の髪の女性が笑った。
「おっと、私達の自己紹介がまだでしたね。失礼しました。私は....」

「私は美星。それで、こっちが私の相棒の清音!」
美星は明るく言った。
「私達、ギャラクシーポリスの人間なの!」

「ギャラクシー....ポリス?」
天地が尋ねた。

清音は美星に突進し、胸ぐらをつかんだ。
「馬鹿!私達、その事をこの人達にバラしちゃ、いけない事になってた
でしょう!」

「何?あ−っ!なんて事!」
彼女はバッグの中を探し、おかしな金属の棒を取り出した。
「記憶消去装置を使わなきゃ!」

清音は黒のサングラスを取り出し、警告の為、叫んだ。
「馬鹿!サングラスを着ける事になってじゃない....。」

*ブ−ン*

遅かった。

清音は座り込み、自分の相棒の無能さに腹を立てていた。

どうして?
どうして、この馬鹿に仕事を与えたの?

清音は運命を呪い、自分の上司を呪った。
そして、美星の頭を小突いたのであった。

「あら?何が起きたの?」美星が尋ねた。

「馬鹿!間抜け!あんた、又、自分自身に記憶消去装置を使ったのよ!
まだ、脳障害が無かったのが不思議よ!」

「貴方、誰?」

「ああ−−−−っ!」

−[1時間後]−

「それで....私は美星....」美星が言った。

「その通りよ。」清音が言った。

「それで....私はギャラクシ−ポリスの一員で....」

「ウンウン。」

「それで、あの人達には私達の事を知られちゃいけない事になってる。」
美星は、ボ−ゼンの立ち尽くす天地と遥照を指差して、言った。

「その通り。」

「それで、私達、宇宙海賊魎呼を捕まえようとしてるのね?」
美星が言った。

「今、そうしてる所よ。」

「おっ、それは良いわ。」
美星は天地と遥照をジッと見つめた。

「この人達は、何も憶えて無い様にすれば良いのね?」

「ウン?」

「それなら、これを使えば....」

「止めて−−−−っ!」

−[更に1時間後]−

「それで、私達、宇宙海賊魎呼を捕まえる事になってた訳?」
美星が尋ねた。

「その通りよ。」
清音は歯軋りしながら言った。

「今度はちゃんと捕まえられる?」

天地と遥照は何も言えなかった。
誰も、彼ら2人を悩ます者は居なかった。
彼らは1日に2回も記憶消去されていたからだ。
少なくとも、心理レベルで脳障害が発生していたのだった。

「あの、質問が有るんだけど。」美星がオドオドして言った。

「今度は何?」清音は唸った。

「ウン....あら....魎呼って、髪の毛の色、青色だったっけ?」

「そうよ。」

「それに、シッポもある?」

「そうよ。」

「あの....」

「何?言ってごらんなさい!」

「彼女、そうじゃ無いのかしら。」
美星は戸口を指差して言った。

魎呼はニッコリ笑った。
「ヨオ。この辺に天地って奴、居なかったかい?」

清音は銃に手をかけ、息が止まり、前言を撤回した。

美星は自分のバッグの中の金属棒を握り、狙いを定めた....

*ブ−ン*

−[それから、数分後]−

女性は、何が起きているのか、分からなかった。

黒ずくめに身を包んだ彼女と金髪の女性、青い髪の毛の少女、少年、そして、
老人が、そこに居た。
彼ら5人は、誰かの家の中に座り込んでいた。

「あの....貴方達、誰?」金髪の女性が尋ねた。

「私....分からないわ。」彼女は答えた。

「ワシは思うに....ワシ達はお茶を飲んでいた。」老人が言った。

「そんな感じがする。」少年は言った。

青い髪の毛の少女が言った。
「あああっ、このお茶、冷えてる!」

「おっと、それなら、暖めないとな。」老人が言った。

黒ずくめの緑色の髪の毛の女性はしかめ面をしていた。
ここでは、何かが間違っていた。
だが、彼女には、何が間違っているのか、分からなかった。

「おっ!」
金髪の女性が、クロム色で円筒型の何かを拾い上げて言った。
「何かしら、これ?先端の赤いのを....」

*ブ−ン*

<終わり?>